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金崎内科医院

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院内報2025年2月1日号を掲載しました

1月までは例年通りか少し穏やかな冬かなと思われましたが2月はまだまだ油断できません。冬としては最後の踏ん張りどころですので防寒、体調管理に引き続きつとめたいところです。

<かぜ情報>

1月半ばまでインフルエンザが多い状態が続いていましたがその後はかなり減りました。主にA型による流行のピークは終わったかもしれませんが今後はB型により再び流行の波が来る可能性もあり油断はできないと思います。新型コロナ感染者も持続的に出ていてインフルエンザよりも多くなっています。自分はイではないか、と予想して受診したけど検査でコロナと診断されてびっくり、という方が多い印象です。 ウイルス性胃腸炎が少しづつ増えていますのでこちらにも注意が必要です。

<今年からの診療時間変更の知らせ>(前号と同内容)

今年(令和7年)より月、火、木、金曜日の午後の診療時間は1830までとさせていただきます。ご留意ください。(水、土曜日の午後は休診です)

<糖尿病コーナー>

「AYA(アヤ)」世代ということばがあります。最近聞かれる「Z世代」などと関連がありそうですが、これは医学の分野、特にがん治療の分野で使われる用語なので一般の人はほとんど知らないと思います。Adolescent and Young adultの略で15~39歳の思春期・若年成人に相当する世代です。この世代は他の世代に比べて医療機関を受診することが少なく医療費もかからないのですが、がんの領域でも特徴があります。がんの種類のうちで比率が一般的に高いもの、つまり大腸がん、肺がん、胃がんといったものは少ない一方でこの世代に多い特有のがんがあります。10歳代では小児からの連続性が残っているため一般的に「肉腫」タイプのものが多く、20歳代、30歳代では白血病、リンパ腫、子宮頸がん、性腺腫瘍が増えてきて、30歳後半になってくると甲状腺がんや大腸がんなどが増えてきます。がんの種類が特徴的なだけではなく、抗がん剤の効き方や副作用も他の世代とは異なること、そもそも他の世代に比べて圧倒的に数は少ないのでまだ臨床試験のデータや病気の知見が少ないことも問題となっています。また、医療機関の受診や検診を受ける機会が少ないために発見が遅い傾向もあります。仕事や育児で余裕がなく経済的にも貯蓄が少ないことも治療負担に大きく影響してきます。今後はこのAYA世代のがんへの本格的な対策求められてくるでしょう。糖尿病領域ではまだAYA世代ということばが使われることはありませんが、やはり若い人への対策はとても重要です。糖尿病の合併症は時間が経つほど進行します。例えば高齢で発症した場合には糖尿病の合併症でつらい思いをする前に天寿を全うする可能性がより高くなりますが、逆に若くして糖尿病を発症した場合には適切な治療を継続しないと合併症を抱えながら年齢を重ねることになる可能性が高くなるのは想像に難くないでしょう。若年糖尿病の問題の一つが移行期医療と言われています。これは稀ながら小児期で発症してしまった糖尿病の人が思春期以降で起きる問題です。この時期は進学や就職で環境が目まぐるしく変わる一方でまだ成熟した考えをもつに至らないことで自分の病気の治療を後回しにしたり、放棄したりする傾向がみられます。通院する科も小児科から内科に変わりますがそれをきっかけに治療からドロップアウトしてしまいがちです。成人後の早い時期での発症であっても同様の傾向がみられますが、若年での発症には生活習慣の影響よりも遺伝的要素が強くでる傾向にあります。当院でのデータでも糖尿病発症時期が早い人ほど、親や兄弟に糖尿病をもつ人の割合が高い傾向にありました。つまり糖尿病と言われても自分のこととして捉えにくいのです。今は医療の進歩で糖尿病があっても糖尿病がない人との寿命はほとんど同じになりました。合併症はわずかには減っていますが、命にはかかわらないもの治ることは難しいものがほとんどです。ですから若いときに発症した人ほど、合併症を抱えたままま中高年となっていくことが想定されます。若い人ほどしっかりと治療をしていかなければいけません。糖尿病自体がまだ社会から正しく認識されていませんが若い糖尿病の人には周囲の理解とサポートが必要なのです。

<院長の日記>

前述のAYA世代は特定の年齢層を医学的な見地からみた呼称ですが、年齢ではなく生まれた年代による区分があることもご存知でしょう。最近よく聞かれることばがZ世代です。主に1995年から2015年に生まれた世代で、現在では9歳から29歳になっている世代です。様々な特徴がありますが、代表的なのは「デジタルネイティブ」と言われているものでスマホやSNSなどが物心ついた頃から存在する環境だったためこれらのものを誰に教わることもなく当たり前のように使うことができます。他の特徴としては自分の生活の質や生きがい、働きがいを優先する、ネットを通じて多くの人とコミュニケーションをとったり情報を発信したりすることにより熱心、コストパフォーマンスを重視することなどが挙げられます。さらに上の世代からみるとちょっと使いこなすのに困難を感じるデジタル機器を当たり前のように使っている姿に驚いたといった経験をしたことがあるかもしれません。さらにその前の世代がY世代で1980年から1996年に生まれた人たちになります。「ミレニアル世代」とも呼ばれます。やはりデジタル機器の扱いには慣れていますが、そのデジタル機器がちょうど広がり始めた時代も経験しています。日本で「ゆとり教育」を受けた世代でもあります(ゆとり教育はZ世代の一部にも及びます)。ゆとり教育はそれまでの過剰な詰め込みや競争からの反省から生まれたもので、現在に至るまでのワークライフバランス重視の考えとも関連があります。さらにその前はX世代で1965年から1980年の生まれです、そのちょうど真ん中あたりが日本では第2次ベビーブームの時に生まれた世代で私もそこに属します。ちなみに第2次ベビーブームは第一ベビーブームで生まれた世代を親にもちます。第一ベビーブーム(特に戦後直後から4年間に出生)は団塊の世代とも呼ばれます。団塊の世代は現在ちょうど「後期高齢者」となってきた世代で日本では学生運動から高度経済成長を体験しています。バブルも享受しています。とにかく寸暇を惜しんで働いて定年まで勤めあげるというライフモデルがはっきりしていました。一方でX世代は日本ではとにかく人数が多いことによる過酷な競争にさらされ、バブル崩壊による就職氷河期も経験しました。X世代より前とY、Z世代の大きな違いの一つがメディアとのかかわりです。X世代までは新聞やテレビが情報源となっていますが今の若い人たちは新聞を見なくなっただけでなくテレビも見なくなってきているようです。ドラマやスポーツは動画配信を使い、SNSでのさまざまな発信を情報源としています。最近では例えば選挙にも大きな影響を及ぼすようになってきています。SNSでの情報は真偽が定かではない情報が多いとの理由でとかく危険視されがちですが、いつの時代もその前の時代からみれば新しいものには危険性を感じてしまいがちなものなのかもしれません。現在のテレビの報道も社会の雰囲気を一つの方向にもっていってしまう危険性は十分あると思われますし、かつては新聞社が戦争推進の機運を作ってきたのは事実です。人は自分の信じたいもの、見たいものしか見ないという習性があるようで、政治も社会もその点ではなかなか成熟していくのは難しいかもしれません。現在は世代による感覚の違いを最もうまくとらえているのはマーケティングの分野かもしれませんが、一方で社会環境によって世代間での感覚の違いがあるということを意識することが相互理解の一助になるのかもしれません。