2024/02/08
風が冷たいです。埼玉の冬特有(?)の乾燥した冷たい風がある日とない日では体感温度は大違いです。それでも大雪がない分恵まれていますし、今年は例年よりは気温が高いのは寒がりの私でも実感します。2月は冬の最後の踏ん張り時。寒さで体調を壊さないようにしたいです。寒いとかえって帰宅してからの入浴が心地よくなりますね。
<かぜ情報>
発熱やかぜ症状で受診される方がとても多い状況が続いています。当院でも発熱外来の枠をさらに広げてなんとか対応させていただいておりますが、それでも限界を越えてしまっている状態が続いています。もう半年以上、そのような状況です。新型コロナは確実に増えています。検査で新型コロナウイルスの診断をお伝えすると、びっくりされる方が最近は多い気がします。もうコロナは終わった、今はインフルエンザがメイン、と思われているようです。コロナについてはほとんど報道されなくなっていますし、医療側と社会の雰囲気にかなりのギャップがあるように感じます。もちろん、インフルエンザもまだ多い状態が続いています。とにかくしつこいです。
<発熱や風邪症状で受診される際のお願い>
発熱や、熱がなくてもノドの痛みが出現したばかりなどの場合は11:30か16:00の発熱外来(プレハブ診療室)で診療いたします。軽いかぜ症状も含めて事前の電話による予約をお願いいたします。受診予約の電話で朝の診療開始の時間からしばらくは電話がつながりにくい状況が続いており誠に申し訳ございません。
※「コロナ禍」が始まって以来、上記のような対応をとらせていただいております。当初の発熱外来は1時間で4人でしたが、現在では午前、午後とも30分で8人(計16人)を診させていただいております。その他にも隔離部屋の空き状態を勘案しながら当院に糖尿病などで通院されている方の発熱や風邪症状への対応も可能なかぎりさせていただいており、1日実質20~30人となっています。
<糖尿病コーナー>
検診などの血液検査でコレステロール値が高いと指摘されてしまう方は多いと思います。特に悪玉とされるLDL-コレステロールが高い場合には放置せずに受診や定期検査をお勧めします。しかし、コレステロールについて誤解されていることが多い印象も受けます。まず、コレステロールを下げなければいけない理由は動脈硬化の予防です。他にも糖尿病や腎臓病、心臓病がある場合には基準値以下に下げることでこれらの疾患の進行や合併症の予防には必要です。コレステロールはいわゆる油の一種ですので油物の摂取を控えればいいのか、というとそこまで単純ではありません。コレステロールは卵などに多いとされていますが「摂りすぎ」でなければ、それ以上摂取を控えてもあまり効果はありません。コレステロールの値が高くなる原因としては運動不足や肥満が挙げられますので糖尿病や肥満への対策をすればコレステロールも下がることは期待できます。コレステロールは年齢の影響も受けます。特に女性は閉経を迎えるあたりからその傾向がでてきます。女性ホルモンにコレステロールを下げる働きがあるためです。他にも遺伝的な影響もあります。つまり人によって背景が様々ですので個々にこれらの背景を考慮してお薬による治療が必要かを判断します。お薬を使うかの判定に推定式などもあります。代表的なのが日本人向けに作られた吹田スコアがあります。これはLDL-コレステロールだけはなく善玉コレステロールとされるHDL-コレステロール、年齢、性別、喫煙、糖尿病、高血圧や心臓病の家族歴などを使って心臓病(冠動脈疾患)の発症リスクを点数化します。すると例えば、コレステロール値が結構高くてもこれらの因子がほとんどない場合には内服するメリットが少ないと判断することもできます。例えば、LDL-C 180とかなり高くても女性、55歳、高血圧と糖尿病いずれもなし、喫煙習慣なし、若くして狭心症になった家族がいない、とした場合にはスコアは「低リスク」となり積極的には内服治療は考慮なくてもいい、となります。ちなみにここで考慮に入れる喫煙はコレステロールには直接的には関係しませんが、動脈硬化の強いリスクがあるのでコレステロールを下げる必要性の検討の場合には考慮すべき因子となるのです。ちなみにコレステロールを下げるお薬のスタンダードともいえる「スタチン系」はコレステロールを下げる作用とは別に心臓の血管:冠動脈のプラーク安定化作用があります。プラークとは血管の壁の内側にある瘤(こぶ)のようなもので、その安定化作用とはプラークのところで血栓ができにくくする、という働きです。ですから、例えばいったん狭心症を起こすとコレステロールの値とは関係なく(もちろん下げることは期待されますが)、このお薬が使われることが多いです。
<院長の日記>
1月28日に伊奈町の防災訓練が実施されました。場所は小針北小とその周辺です。私も医師会代表として今成医院の今成先生と参加してきました。私は初めての参加でしたが翌日の新聞によると通常の倍の参加人数だったそうです。能登半島地震が起きたばかりでもあり、また、コロナによる制限がなくなったこともあるようです。参加されている町民の方も緊張感をもって積極的に取り組まれているように見受けられました。私が参加したのは怪我人を重症度に応じて選別するトリアージの訓練です。重症度に応じて赤、黄、緑の札を付け、赤は最優先に医療機関への搬送を考慮しなければならない人、となります。多数の消防隊員と消防車(新聞によると10台)、自衛隊隊員の方たちとその車両、警察、そして役場の職員の皆様も参加されていました。これから訓練の揺れが始まるというその直前に本当に地震(震度2くらい?)も起きてしまい、ドキッとしました。3時間くらいの滞在ののち、自衛隊の炊き出しのカレーライスを頂いて帰りました。寒かったので余計においしく感じました。伊奈町は幸いにして近年は大きな災害に見舞われていませんが、地震だけでなく洪水の危険性が高いことも留意すべきでしょう。さて、地震ですが、東日本大震災では津波が、能登地震では家屋の倒壊が犠牲者を多く出す原因となってしまいました。当然伊奈町では津波による被害は想定されませんが、地震発生直後はまずは家屋の倒壊に警戒しなけれないけません。ただし、これも地震の規模や震源からの距離、そして地盤によってリスクは変わってくるのでやはり町のハザードマップをまず確認しておいた方がいいと思います。伊奈町の北部地域は県民活動総合センターや伊奈学園など広い場所があって避難場所としては恵まれているようです(洪水のときにこれらの場所は逆に使えない可能性が高いとされています)。発災直後3日くらいまでは直接的な怪我などへの対応に追われるでしょうが、その後はインフラの復旧、災害関連の疾病への対応が重要となってくるでしょう。日本では東日本大震災以来、日本全国からの人的、物的な支援が公的、私的を問わず自主的に始まるように感じます。ただし災害の起きた地域特有の問題も想定しなければいけないと思います。東日本大震災では沿岸の被害と原発事故による放射能への対応が大きな困難となりました。能登地震では半島という特有の地形のため、被害地域へのアクセスが困難を極めているようです。インフラの障害も大きな問題となりますが復旧はやはり電気が一番早く、水道の復旧には時間がかかるようです。蓄電池や発電機も大切ですがそれ以上に水やトイレの確保が大切です。個人的に最も恐れているが、東京直下地震です。その場合、伊奈町の被害は大損害とはいかないかもしれませんが、東京の被害が大きいと物流の障害の影響を大きく受けてしまうことが想定されます。首都機能がマヒすれば日本全体の機能も一時的にマヒしてしまうでしょう。地方で起きた場合には能登地震のように過疎地域での孤立集落の対策が求められますが、東京のような一局集中のところに起きてしまった場合の2次、3次被害の大きさは想像もつきません。私達個人にできるのは事前の備蓄くらいしかないかもしれませんが、今回の能登地震を機に改めて備えを万全にしたいと思いました。