2021/12/14
さすがに寒くなってきました。今年ももう終わりですが、まだ決着がつきそうにありません。現時点では日本は落ち着いていますが、ここまで長引くとは、という思いです。
パンデミックを経験して世界、地球は広いようでもやはり一つ共同体なのだなと実感されます。ウイルスにとって地球はそれほど広くないようです。国同士の競争はしかたありませんがもはや争っている場合ではないという感覚をこれを機に共有できればいいと思います。
<かぜ情報>
例年(コロナ前)ほどではありませんが、風邪症状で受診される方は増えてききています。特定の名前のつく感染症は幸い、流行しておらず、インフルエンザの流行も現時点ではおきていません。新型コロナウイルスも減ってはいますが当院でも引き続き感染対策をしながらの診療を継続させていただきます。発熱で受診される場合の時間指定や隔離室への誘導なども続けます。何かとご不便をおかけしますが、ご理解の程、よろしくお願いします。
<年末年始の休診のお知らせ>
12月29日から1月3にまで休診とさせていただきます。
定期受診の皆さまにはお薬がきれないようにご確認をお願いします。
<糖尿病コーナー>
冬は一般的には血糖が高くなる方が多い傾向にあります。原因については諸説ありますが、もともと気温が低い方が血糖が高くなりやすいこと、食欲が夏よりも増してしまうこと、寒いために外での運動量が減ってしまうことなどが複合的と重なっていると推測され、また個人個人でもかなり背景が違ってくると思われます。さすがに真冬の寒いときに外にでて散歩や運動してください、とこちらも言いにくいです。出来る人は是非実践していただきたいですが。ところで「運動」といっても散歩やジョギング、スポーツジムでのトレーニングだけではありません。日常生活での「生活動作」も同じ体を動かすことであればそれでいいのです。以前からその点についてはたびたび述べてきましたが、今回はその生活動作がどのくらいの運動強度なのか知っていただければと思います。まず、運動の強度を示す数値化としてMETs(メッツ)という指標があります。このMETsは時間当たりの運動強度で、何もしないでただ座っているだけの状態を続けた状態を1Metsとしています。そして例えば普通歩行なら3METs、普通のスピードの自転車乗りなら4METs、ゆっくりした水泳なら6METsくらい、エアロビクスやテニス(シングルス)は7METs、激しい格闘技なら10Mets程度とされています。そしてたとえば、3METsの普通歩行20分とおなじ運動量は6METsのゆっくりした水泳10分が同じ運動強度となります。さて、生活動作についも細かく定められています。ちょっと面白いので紹介してみます。立位だけで1.8METs、掃除機がけ、フロア拭きが3.3、車いすを押す、草むしり、階段を降りるなどが3.5METs、高齢者や障害者の介護、動物とやや走りながら遊ぶが4METsです。耕筰、家の修繕が4.5METs、シャベルで土や泥をすくうが5METs、子供(孫?)とやや活発に遊ぶが5.8Mets、雪かきが6METs、重い荷物の運搬が8METs、階段を速く上るが8.8Metsです。やり方によっては随分変わってくるでしょうし、子供と遊ぶといっても子供の年齢や性格によってもかなり違うのではないかとツッコミたくもなりますが、あくまでも参考としてみていただければと思います。雪かきのMETsが高いのは納得しますし、介護(風呂、ベッドの乗り入れ)もやはり高いのですね。これら生活動作で運動にもなっているのであれば、ちょっと得にもなるとは思えないでしょうか。これから年末、掃除をこまめにして家族にも褒められて自分の運動にもなります。家の前の落ち葉を掃くだけのも運動になります。これなど毎日ではなくても初冬にかけてなら定期的にできそうです。家の前はいつもきれい、近所からも見直されます。「あそこの家の人はしっかりしている・・・」。どうでしょうか、是非「生活動作」に積極的に取り組んでみてください。(厚労省「健康づくりのための身体活動基準」参照)
<院長の日記>
前回、皇室へ税金を使うことについて書きました。今回も天皇についてです。あくまでも歴史愛好家の観点からの話で政治的な意図はありません。
子どものころから歴代天皇の名前の一覧をみてはすべて暗記したいと思うことしばしばで、何度か実際に挑戦してみたことがあります。結局今も暗唱することはできません。ちなみに室町幕府と江戸幕府の歴代将軍の名前は今でも言えます。将軍の場合は暗唱、というよりは歴史の流れでエピソードを紡いでいくと自然と名前がでてきます。一方、天皇は120人以上であり、一人ずつのエピソードを思い浮かべることもできません。戦前世代に教育を受けた人たちは暗唱できるように指導を受けていたと聞いています。「暗唱」(意味を考えずひたすら音節として暗記したもの)としてスラスラ出てくるのは私の場合は初代神武天皇から第12代の景行天皇までです。神武、綏靖、安寧、いとく、こうしょう、こうあん、こうれい、こうげん、開花、崇神、垂仁、景行・・・もっと行けそうかな? 時代によってはエピソード(ストーリー)に沿って覚えることが出来ますが、私にとって難関なのは南北朝時代前後と江戸時代です。江戸時代は200年以上平和であったため天皇に関するエピソードが少ないのです。そして南北朝時代です。天皇の名前自体もあまり特徴がなく「後・・・・天皇」も多いのが理由の一つですがやはり途中で2つに分かれるところで覚える気が失せてしまうのです。さて、ここからが本題。今の天皇陛下は北朝の系統です。ところが、歴史の教科書では南北朝時代の北朝時代の天皇には(北1、北2)という記載が付与されています。宮内庁のホームページでも同様です。一方で南朝の方には歴代天皇の番号がそのままつけられています。両統併記ながら北朝5代は注釈のようなものがつけられている、つまりこの時代については現在では南朝がより正統とみなされているのです。この理由や背景はとても複雑ですが明治時代の議論の影響が残っているのは否定できません。そもそも明治時代、すなわち明治天皇の時代は北朝系の天皇をいただいております。一方で天皇に忠誠を尽くすということで美化された人物がいました。楠木正成です。明治維新の思想に大きな影響を与えた水戸学が楠木正成を称えているのです。一方で楠木正成を破り、北朝の天皇を戴いて後醍醐天皇に反旗を翻し室町幕府を作った足利尊氏は日本史上最大の「逆賊」とされました。天皇に命を賭して忠誠を尽くした楠木正成が仕えたのは南朝の始祖である後醍醐天皇、ということは後醍醐天皇の系統の南朝が正統ではないかという論法です。他に南朝正統を裏付けるとされる論拠はいくつかありますが、最も有名なのは後醍醐天皇は退位するときに北朝の天皇に偽(にせ)の三種の神器を渡したということです。当時天皇を現人神とするなら偽物を渡すという話もどうかと思いますが、南北朝が一応の終息をみたのは南朝の最後の後亀山天皇が北朝の後小松天皇に本物の三種の神器を返したからとされています。明治天皇も正式にそれを認めたとされています。北朝系の治世、しかも天皇を国家の主権とまでした明治時代に北朝正統説に異を唱えたというのも奇異に感じられます。ちなみに私の母の実家は南朝の功臣名和長年の末裔で私の祖父は生下時は名和長博という名前でした。江戸時代までほぼ忘れられた家系でしたが、明治維新のおかげで爵位を与えられました。以前、明治維新は薩長によるテロリズムという説も紹介しましたがなんとも複雑な気持ちです。