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金崎内科医院

〒362-0812 埼玉県北足立郡伊奈町内宿台3-40

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2019年9月1日号

8月の例年通りの猛暑のピークは過ぎたようで、いつも思うのですが、終ってみればあっという間だったような気がします。しかし、暑さ寒さも彼岸まで、というようにこれからも残暑として暑い日はあるでしょうから半袖はまだ当分必要でしょう。

<かぜ情報>

小児で流行していた手足口病やヘルパンギーナもかなり減ってきました。8月、9月は毎年かぜの流行が少ない印象ですが、小中学校に通う生徒では新学期が始まってからの特有の体調不良が増えてくる時期でもあります。いきなり頑張らないほうがいいでしょうが、運動会の準備などで忙しくなってくるのでしょうか。

 

<診療時間の変更予定のお知らせ>

来年(令和2年)4月より、水曜日と土曜日のいずれも午後の診療は中止とさせていただきます。ただし、土曜日の午前からの診療は1300まで延長いたします。どうかご周知くださいませ。

 

<伊奈町特定検診のご案内>

例年通り、610日より伊奈町の特定検診が始まっています。期間は9月末までです。対象者は伊奈町の国民健康保険の保険証か後期高齢者の保険証をお持ちの方になります。毎年期間の最終の9月は予約で混雑しますので早めの受診をお願いします。

 

<糖尿病コーナー>

お盆休みを頂いて、家内の実家に帰省しました。親戚でバーベキューを楽しんだのですが、そのうちビールなど飲んでいるうちにやはり健康自慢、病気自慢の話になりました(よくありますよね)。そこで、ある人が自分の主治医に「糖質ゼロ」のビールについて聞いたけどよく教えてくれなかった、糖質って何?ゼロだから大丈夫なの?と聞かれました。正直、どきりとしました。糖質についてはある程度こたえられるのですが、「ゼロ」の定義について正確にこたえられませんでした。以前も何度か自分で確認したのですが、やっぱり忘れていました。この際ですので改めてまとめてみたいと思います。まず、「炭水化物」「糖質」「糖類」ですがこれについてはこの場でも何度か触れたことがあります。糖類はブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)などの単糖類や乳糖(ラクトース)などの二糖類からなります。いわば糖関連の最小単位のようなものです。「糖質」は単糖類だけではなく単糖類や二糖類がもっと多くくっついて構成された「多糖類」や人工甘味料として使われる「糖アルコール」、「でんぷん」を含みます。ちなみに糖アルコールといってもお酒のアルコールとは違います。そして炭水化物は糖質と食物繊維の両方を含むものを言います。米などの穀類がそうです。つまり、糖としてもっとも小さいのが「糖類」その次が「糖質」(糖類も含みますが)、その次に炭水化物になります。糖類は消化分解する必要がほとんどないので体への吸収が最も早くなります。では、例えば糖類についての「ゼロ」と「オフ」の意味ですが、これは食品表示法で決められてる文言なのです。糖類「ゼロ」は100mlあたり0.5g以下の場合に表示可能とされている一方、糖類「オフ」は100mlあたり2.5g以下かつ同類の飲料にくらべて25%以下の含有量、と定められています。要するに「ゼロ」でも「オフ」でも全く糖類が「ゼロ」ではなくわずかながら含まれていて「ゼロ」の方が「オフ」よりも少ないと思っておけば良いでしょう。ちなみに、糖質については「ゼロ」の定義はありますが、「オフ」については定められていないようです。もうこのあたりになると混乱していますよね。製造販売者は法律に従って表記しているのですがイメージばかり先行して消費者はほとんど理解できていないと思われます。いずれにしても糖類や糖質が少なくなっているので健康に良さそうに聞こえますが、これらの表記がされていても発泡酒やビールである以上アルコールはそのままです。飲んでみてもアルコールであることには変わりはなく、アルコール自体は血糖コントロールや栄養バランス(食行動)に大きく影響しますので(以前詳しく述べました)、糖類、糖質「ゼロ」や「オフ」と記載されていてもあまり意味はないと私自身はとらえており、実際に患者様にはそのように指導しております。それにしてもわかりにくいです。むしろこの表記には問題があるように感じます。私自身、また忘れそうです。

<院長の日記>

今、放送されているNHK朝の連続テレビ小説「なつぞら」では広瀬すずが演じる女性アニメーターが主人公です。ドラマに登場するアニメーターやアニメ作品には実際のモデルがあるようです。主人公の「なつ」にも戦災孤児ではありませんが、やはりモデルとなったアニメーターがいるようです。そしてなつの夫となる坂場には高畑勲が最も近いと噂になっていますが、その坂場が初の演出として取り組んだ「神をつかんだ少年クリフ」という長編アニメ映画がでてきます。全くヒットせず、そのため坂場は東洋動画を退社するまで追い込まれてしまいます。そしてこの映画にも実際にモデルがあるとされ、それが「太陽の王子ホルスの大冒険」です。高畑勲が演出し、宮崎駿、小田部羊一(なつのモデルのとなった女性の夫でもあります)など錚々たるメンバーが制作に参加しています。やはり興行的に大惨敗だったのですが制作には社をあげて取り組んだようで、予算もかなりオーバーし、スタッフも精魂込めて制作したようです。なぜ、ヒットしなかったのか?やはり子供向けにしては難しすぎたというのが定説になっていますが、今回、私自身もDVDを購入してみてみました。1時間20分程の長さで、今の長編アニメと比べてもそれほど長い訳ではありません。内容ですが、ネタバレになってしまうので詳しくは述べませんが、かなり練られたストーリーだと思います。北欧の伝説がモチーフになっているとされていますが、確かに神話的な要素もあるような気がします。主人公の少年ホルスは当初はかなり荒々しい性格ですが、次第に優しさや弱みも見せるようになってきます。これが成長なのかはわかりませんが、短い時間での変化ですのでやや一貫性がないようにも見えてしまいます。そしてこの映画のもう一人の主人公といえるのがヒルダという少女です。こちらは始めから複雑な生い立ちや背景が描かれ、その内面の変化こそがこの作品のテーマと言えるでしょう。このあたりはとてもよくできていると思います。途中、いきなり静止画だけの展開が続いたりで(予算や時間の制約があったそうで)、制作現場の苦労がそのままで出ているようのところがありますが、スタジオジブリの長編アニメの萌芽のようなものがやはり見て取れます。なぜヒットをしなかったかは、DVDには収められている予告編をみてよくわかりました。ハッキリと子供むけの「楽しい」映画とされていました。これは確かに宣伝の失敗です。現在に例えるなら宮崎駿の生涯をかけたというほど長編アニメを東映まんがまつりという枠で宣伝しているようなものです。東映まんがまつりのアニメではほとんどなじみのあるキャラクターが出てきて初めからストーリーがほぼわかっているものばかりです。子供たちはこういう映画を喜んでみるのだと思います。そもそもこの当時はアニメは子供のためのものという固定観念があったのでしょうから、時代の制約ともいえるでしょうか。日本アニメは世界の誰もが知るブランドとなりましが、今から50年も前にこのような作品が作られていたというのは知っておいていいかもしれません。今日、日本の自動車メーカーは世界的なメーカーになっているのは既知のことですが、ディズニーなどをみてアニメづくりを始めたアニメーターたちの偉業もモノづくりのジャパンの結果の一つなのかもしれません。「たかが」アニメに大真面目に取り組んだ人たちの歴史といったら大げさでしょうか。