2025/03/06
やはり2月は寒かったです。今年は地域によっては稀にみる大雪となったようですがこちらでは1回も降りませんでした。雪害に遭わないだけでもありがたいことなのかもしれません。それにしても八潮市での道路が陥没から1ケ月経ってもいまだに状況が変わってないのが驚きです。下水の使用制限が呼びかけられた期間は対象区域外の日帰り温泉をたびたび使いました。ちょっとした出費にはなりましたがやはり温泉に行くと暖まり方が違いますね。
<かぜ情報>
インフルエンザは稀になりました。新型コロナにかかる方はそれなりにいらっしゃいます。2月半ばには私も新型コロナに感染してしまいました。2度目です。5日間の休診となってしまいご迷惑をおかけしました。下痢や嘔吐が主な症状のウイルス性胃腸炎が増えています。冬に流行しやすいもので今シーズンは少ないなと感じていたのですが冬の終わりになって増えてきたようです。
一般的なかぜ症状で受診される方もやや多いですが、どちらかというと状況は落ちついています。 風邪ではありませんが3月は花粉症で受診される方が多くなるでしょう。
<今年からの診療時間変更の知らせ>(前号と同内容)
今年(令和7年)より月、火、木、金曜日の午後の診療時間は18:30までとさせていただきます。ご留意ください。(水、土曜日の午後は休診です)
<糖尿病コーナー>
わが国では糖尿病の有病率がいまだに増えていますが、その最も大きな原因は現在は高齢者の糖尿病が増えているからと言えます。かつては食糧事情が改善してむしろ飽食となったことと運動不足になったことが原因とされていましたが今の課題は高齢化なのです。加齢とともに血糖を下げる力も低下していきます。その原因は様々ですがその要因の一つとして筋肉の量が落ちてしまうことも挙げられます。血糖を下げるインスリンが実際に作用する臓器は主に肝臓と筋肉です。その筋肉が減ってしまえばインスリンが活躍する場が減ってしまうことになります。 近年特に実感されるのが退職とともに血糖値が上がってしまう方が増えていることです。多くの人が60歳から70歳に退職されると思いますが、退職とともに活動量が減り、結果的に運動が減ってしまうことが背景にあるようです。私は勝手に「退職高血糖」と呼んでいます。急に血糖(HbA1c)が上がったのでびっくりしてこちらから事情を聞いてみたところ実は退職した、とお答えになるパターンが本当に多いです。筋肉は急には減らないので退職とともに血糖がすぐに上がってしまうのは単に糖の「消費」が減ってしまうことが影響しているのでしょう。家にいる時間が多くなったりしてかへって間食や食事の量が増えている方も多いようです。長い間家族のために一生懸命仕事を続けようやく晴れて引退、あとはゆっくりしたいという気持ちは察するに余りあります。ちょっとはゆっくりしていただきたいです。ただしそのまま「楽隠居」を続けると筋肉が急速に落ちてしまうことが懸念されます。筋肉が落ちることは血糖値への悪影響のみならず、筋力も落ちてさらに動くのが億劫になりますし、さらに進むと転倒などのリスクにもなります。筋肉が落ちることで身体的加齢が加速してしまうのです。筋肉が落ちてしまうことを「サルコペニア」と言います。いったん落ちた筋肉はなかなか元には戻りません。退職後は筋肉を維持することを意識していただきたいです。筋肉を貯めると言い換えて「貯筋」をしましょうということになります(昨年秋の町民向けの健康講座で伊奈病院の整形外科の石橋先生がそのように呼びかけていました)。退職後はそれまでの貯金を大事にしながら生活していくことになりますが「貯筋」も意識していただきたいです。貯筋のためには運動の継続です。動けるのであれば人は死ぬまで動いていなければいけないようです。
<院長の日記>
前回は世代の話をしました。私は団塊ジュニア世代ですが、昭和を知っている最後の世代と言えるかもしれません。昭和から平成に年号が変ったのが私が高校2年の時でした。つまり子供時代はどっぷりと昭和だったのです。今や昭和という単語は古いイメージで使われてしまっているようです。「昭和の考え方」「昭和のやり方」などと言われてしまうのはちょっと悲しいです。昭和が舞台となるドラマや映画は今や時代劇といってもいいかもしれません。完全に「今ではないもの」となったのです。そして個人的にはこの「昭和もの」が好きです。そのなかでも特に大好きなのが松本清張です。私自身は昭和のとき、すなわち子供の時には松本清張をほとんど体験していません。夜のやや遅い時間の2時間枠のテレビドラマの原作者として松本清張という名前をよく目にしたのですが、ちょっとだけ覗くようにみてみると大人の隠微な世界が描かれているようで自分とはあまり関係ないものと思っていました。松本清張の小説を読むようになったのは30歳を過ぎてからでした(実は中学のときに「点と線」を自分で買っているのですがなぜか読むことはありませんでした。定番の「点と線」から始まり、「ゼロの焦点」「砂の器」と推理小説を読み進めていました。よく言われるように推理小説であっても列車による旅の場面や権力構造、人間の欲望の描き方に惹かれるものがありました。そして舞台が昭和です。懐かしさもありますが、自分の生まれる前の昭和の雰囲気を味あわさせてくれます。スマホもインターネットもない時代ですから事件の捜査では列車で出張するか電話を使うしかなく、聞き込みでは個人情報保護の観念などありません。みんなペラペラしゃべります。松本清張のものに限らず昭和ものではテレビドラマや映画では男性はほぼ全員いつもタバコを吸っています。家に帰ると浴衣を着て、ビールを飲みながらプロ野球中継をみる。女性はほとんど専業主婦で、例えば子供が何か問題を起こすと「お前のしつけがなってないからだ」と夫に怒鳴られる。いまではあり得ないからこそ時代劇としての面白さがあります。松本清張は沢山の作品を遺してくれましたがまだまだ読み切れていません。これからも読みたいのですが何だが読んでしまうのがもったいないくらいです。人を惹きつけるものとしてその独特のタイトルも挙げておきたいです。「Dの複合」「状況曲線」「隠花平原」「夜行の階段」「波の塔」「時間の習俗」・・・。読む前から絶対に面白いはずと思わせてくれます。松本清張はこの他にもドキュメントや歴史についての考察でも有名ですがこの辺りにはついてはいずれまた触れてみたいと思います。 小説で描かれた場所を訪ねてみたいと思っています。例えば深大寺の近くでおそばを食べるとか(波の塔)、福岡まで行ってJRと西鉄の2つの香椎駅から香椎浜まで歩くとか(点と線)です。今すぐは無理でもいつかは・・。