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金崎内科医院

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院内報2025年1月1日号を掲載しました

今年もよろしくお願いします。今のところは穏やかで気温も含めて通常通りの冬の気候が続いています。しかし、雨や雪がまったく降らず乾燥が続いています。乾燥が続くと火の元と同時にウイルスの感染にも注意が必要です。12月には私も風邪をひいてしまいましたし、当院の職員も数名インフルエンザやコロナにかかってしまいました。

<かぜ情報>

12月からインフルエンザが多い状態が続いています。12月までの段階では子供よりも大人に多い印象で、珍しい現象だと思います。学級閉鎖はほとんどないのですが、大人から子供に感染してしまうケースが多いようです。これから冬休み明けにまだほとんど感染が広がっていない小児や学童で爆発的に増えてしまうことが懸念されます。新型コロナ感染者も持続的に出ていますが、ややインフルエンザにおされている感じです。ウイルス干渉(あるウイルスが流行すると別のウイルスの流行が抑えられる)が本当にあるのかはわかっていませんが、インフルエンザが多すぎで目立たないのかもしれません。ウイルス性胃腸炎もみられますので注意が必要です。

<今年からの診療時間変更の知らせ>(前号と同内容)

今年(令和7年)より月、火、木、金曜日の午後の診療時間は1830までとさせていただきます。ご留意ください。(水、土曜日の午後は休診です)

<糖尿病コーナー>

「健康日本21」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。これは2000年から国が定めた健康政策です。目的は国民の健康寿命の延伸と健康格差の縮小です(医療費を減らしたいという裏の思惑もあるかもしれません)。そしてこれは1012年ごとに改訂されています。第二次が2023年まででこれから第3次になります。第一次から生活習慣の改善が重要な目標の一つとして挙げています。例えば、塩分摂取量、肥満度、喫煙率、運動習慣(歩行数など)、アルコール摂取量、睡眠時間などについてそれぞれの達成目標を掲げています。第2次が終わる現時点で目標値を達成しているどころか悪化してしまっているものがいくつかあります。それは男性の肥満度、睡眠時間、歩行数です。一方で改善傾向にあるのが塩分摂取量、女性の肥満度、喫煙率です。喫煙する人が減っているのは多くの人が実感されることでしょう。公の場所では喫煙する場所はかなり制限されてきていますし、受動喫煙による他人への健康被害の意識の高まり、たばこの価格上昇などがその原因として挙げられます。つまり社会的な要因によって個人の行動変容につながっているという可能性が推測されるのです。女性の肥満度が減っているのも期せずして美容への高まりや時代のトレンドとしてやせ体形への志向が影響していると思われます。くしくも「健康日本21」への戦略としても第一次では個人の生活習慣の変容に重点を置いていたのに対し第二次では「社会環境の改善」が明記されました。私も昨年出版した本で社会的健康要因(SDH)への取り組みが重要と書きましたが、このような視点からの取り組みの方が政策とも相性がいいと思われます。これからスタートする第三次では「自然に健康になる環境づくり」「ゼロ次予防」といった言葉が使われています。「ゼロ次予防」とは何でしょうか?まず、「二次予防」という言葉があります。これは一度かかってしまった病気に再びならないようにするいわゆる再発予防に相当します。心筋梗塞や脳梗塞を発症した後に再発しないように血栓を予防する薬を内服することもそれに含まれます。一次予防とは心筋梗塞や脳梗塞の発症の原因となり得る、血圧や脂質、血糖値などの管理を行うことでその発症を予防することです。そしてゼロ次予防はこれらいわゆる生活習慣病にすらならない環境を作ってしまおうというものです。個人が努力しなくても自然に高血圧や糖尿病になりにくい生活を送れるようにする状態です。坂の多い町では足腰が丈夫になって寝たきりになる人が少ない、野菜摂取の多い県では生活習慣病が少ないといったデータが出ていますが、これらを根拠に生活環境に取り組むということです。前述の社会的要因はもっと広い範囲に及ぶので例に挙げたような取り組みだけでは不十分ですが今後もそのような方向に進むことを期待したいですし私も微力ながら貢献したいと考えています。

<院長の日記>

冒頭にも書いたように12月後半に風邪をひいてしまいました。発熱はなく、新型コロナでもインフルエンザでもなかったので仕事は続けられたのですが結構長引いてしまいました。のどの痛みから始まり、この時点で「コロナか?」とドキリとしましたが何回検査しても陰性でした。やがて声がかれ、鼻水と痰が多くなり、最後に10日くらい咳が長引きました。なんとかこじらせないように、と仕事が終わってからはなるべく早く寝るようにし、体を冷さないようにするなどして年明けになってようやく95%くらい治った感じになりました。一応は医療従事者ですので経過中、自分の体に何か起きているかはわかっているつもりでしたので不安はありませんでしたが、だるさもあってちょっとつらかったです。一般的な「風邪」ではウイルスが上気道から侵入しやがて体の奥に入ってきます。ウイルスの種類や自分の体力次第ではノドの炎症のみで治まることがありますが、そのようにならない場合にはノド(咽頭)→喉頭(声帯)および鼻→気管支と炎症が気道の奥にさらにすすんでしまうと今回の私のような症状になります。鼻水や痰は炎症で障害された鼻や気道の粘膜を修復しようとする私達の体の防御反応の結果です。そもそも炎症自体が生体の反応の結果なのですが、痰や鼻水はウイルスに感染した細胞の死骸やウイルスを攻撃する白血球の死骸が排出されたものです。気管支炎にとどまらずにさらに炎症が気道の奥に進んでしまうと肺炎になります。ウイルス感染で障害を受けた気道の細胞は免疫能が落ちてしまうため、さらに別の病原体(細菌など)の2次感染となりやすく、ここまで来ると抗生物質などの薬剤による治療が必要となります。ちなみに今回は私は数回の漢方薬の内服のみで乗り切りました。冬に風邪をひきやすい理由は諸説ありますが、インフルエンザウイルスなど気温が低いと増殖しやすいなどウイルス側の理由もあります(逆に手足口病やヘルパンギーナなど高温で感染力が増すウイルスもあります)。また、乾燥すると気道粘膜の防御能が低下することも原因として挙げられています。ちなみに私は冷え性です。そして夏に風邪を引いた記憶はほとんどありませんし、仕事などで疲れがたまったときや不規則な生活が続くと風邪をひくことが多いようです。このように個人個人でも風邪をひく「クセ」のようなものもあると思います。今回、風邪をひいているときに鏡を見たらやはり顔色が悪くなっているように見えました。というよりは年明けでお休みをいただいているときに顔色が自分の思っているよりも良く見えたのでやはり年末にかけては顔色が本当に悪かったんだな、と改めて実感したところです。年末年始は例年通りお休みをいただきましたが、どこにも出かけずひたすら体力の温存に努めました。これも過去の経験から言えることですが、風邪をきっかけにしっかり休むとその後は風邪をひく前よりもむしろ元気になった気がします。また、医学のエビデンスからは程遠い話になってしまいますがウイルスに感染していったん免疫の働きをフル回転させることで次の免疫に備えることが出来るようになる気がします。反対に、風邪をひいてもしっかりと休めずにむしろ無理をしてしまった場合には免疫能や体力が低下したままの状態が続き、さらに次の風邪をひいてしまったり、場合によっては肺炎になってしまうリスクが高くなります。これが風邪をこじらせるということです。仕事や育児などに追われて休みたくても休めないという事情の方も多いでしょうが、自分の免疫能や体力を常に意識して自分の体の発する声に耳を傾ける意識をもつことが大切だと思います。私も12月以降、平日の診療でも忙しかったのですが、週末もプライベートの予定が入っていてあまり休めていませんでした。風邪はひいてしまうのは仕方のないことだと思いますがその後にこじらせないようにうまく風邪のウイルスを排除できるようにすることの方が大事だと思います。