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金崎内科医院

〒362-0812 埼玉県北足立郡伊奈町内宿台3-40

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院内報2023年9月1日号を掲載しました

記録的な暑さの夏になってしまいました。日中はまだまだ暑いのですが、それでも8月後半から朝晩の風が少し変わってきたように感じたのは私だけではないと思います。涼しいとは言わないまでも湿気の少ない風になったような。空を見上げると秋の雲のように見えるときもあります。思いがけずある短歌を思い出しました。「秋来ぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞおどろかれぬる」。国語の時間に習ったものです。覚えているものですね。昔は風の「音」に反応したんですね。それくらい静かな環境だったのでかすかな音の変化も感じ取ることはできたのでしょうか。埼玉の内陸は湿気が強いので少しでも湿度が下がることにありがたさを感じることになるのかもしれません。

<かぜ情報>

新型コロナウイルス感染と診断される人が多い状態も続いています。今まで一度もコロナにかかったことのない人が初めてかかった、というケースが多い印象です。他の人はかかっても自分はかからなかったのに、という人を狙い撃ちしてウイルスが感染しているかのようです。集団免疫が作られる過程なのでしょうか。

<伊奈町特定検診の開始について>

6月から毎年恒例の伊奈町の特定検診が始まっています。伊奈町在住の国民健康保険証か後期高齢者証をお持ちの方が対象です(オプション検査となっている胸部レントゲンや大腸がん検診:便潜血などは社会保険に加入の方でも受けられます)。11月末まで期間が長めですので余裕をもった計画で予約できるとは思いますが毎年秋以降は予約がとりにくくなる傾向にありますので早めの受診をおすすめします。

<発熱や風邪症状で受診される際のお願い>

新型コロナウイルス感染は5類扱いとなりましたが、引き続き発熱外来はつづけ、時間と場所を分けて診療を継続しています。発熱や、熱がなくてもノドの痛みが出現したばかりなどの場合は11:30か16:00の発熱外来(プレハブ診療室)で診療いたします。事前の電話による予約をお願いいたします。

<糖尿病コーナー>

大変憂慮すべきことに現在様々なお薬の流通に支障がおきています。例えば咳止め薬です。新型コロナウイルスの感染拡大で確かに需要は多いのですがそれだけが原因ではないようです。一部のジェネリック薬品の生産が様々な理由でストップしたり遅れていることなど複合的な要因のようです。数年前にはある大手のジェネリック薬品メーカーの生産工程に問題があることが発覚しました。その影響も直接あるいは間接的あるように聞いています。また、最近になって2種類の糖尿病の治療薬についても供給に支障がでています。一つは新しい内服薬のツイミーグというお薬です。日本で世界に先駆けて発売が開始された薬です。1日2回に分けて飲むお薬で、当院でも処方をしていました。ある程度の血糖を下げる効果と比較的安価であることもあってなのか生産メーカーの予想需要をはるかに超える量が処方されるようになったため需要に供給が追い付かなくなってしまったというのが理由とメーカーは説明しています。薬局に在庫がないので医療機関で処方箋を書いても受け付けとることが出来ない事態になってしまうためメーカーから当面は処方を減らして欲しいとの異例の「お願い」がでています。生産ラインを増やして対応中とのことでもう少しの辛抱のようです。
もう一つの糖尿病関連薬がGLP-1アナログという種類のお薬です。具体的な商品名は週1回の注射タイプのトルリシティとオゼンピックです。当院でも多くの方に処方しております。さらに最近、より強力な効果が期待されているマンジャロという商品名のものが加わっております。このGLP-1アナログの供給の逼迫の原因ですが、これも複合的なもののようです。一つにはマンジャロがダイエット効果もあるため美容クリニックなどでの保険外診療で多く使われてしまっているということです。他にもGLP-1アナログ自体の世界的な需要の増加です。それだけ効果も信頼性も高いということだと思います。また一時、咳止め薬と同じように生産工程に問題が生じてストップしていたことも影響しているようです。現在、これらのお薬をご使用されている方につきましては薬局での在庫がない場合には残念ながら処方を中止せざるを得ない事態になると思われます。いつまでこの状態が続くかははっきりとは言えないようですが、少なくとも年単位の話ではない(数か月?)ようです。血糖の状態によっては代わりのお薬など提案させていただくかもしれません。

<院長の日記>

今年の大河ドラマ「どうする家康」に伊奈忠次が登場することが発表されました。大河ドラマでは初めての登場です。伊奈忠次の伊奈の名を唯一残す市町村である伊奈町にとっては誠に喜ばしいことです。伊奈忠次をPRし続けてきた大島町長もさぞ、喜んでいることでしょう。伊奈忠次は三河一向一揆の後、いったん家康のもとを離れたのですが、伊賀越えのときに堺で家康に遭遇しまた仕えることになりました。ですから伊賀越えの放送回では期待していたのですが遂に登場しませんでした。その直後くらいにたまたま大島町長でお会いする機会があり、残念ですね、とお話しをしていたところでした。徳川家康は日本史上最大の勝利者だと思います。戦乱の世を統一し、徳川家は200年以上日本を治めました。明治維新で徳川幕府はなくなりますが、その時点で国内での力による覇権争いの時代は終わりました。つまり徳川は勝ち逃げとなったわけです。ご存じのように家康は長生きをしましたが天下統一までは困難の連続でした。織田と今川での2度にわたる人質生活。その間に父は家臣に殺され、今川から解放されても弱小大名とし生き残るため織田信長になんとかついていきます。三方ヶ原での大敗、正室と長男の誅殺、本能寺の変の後の伊賀越え、小牧長久手の戦いの後の重臣(石川和正)の出奔、本当に困難の連続でした。最後の困難(我慢)は秀吉の命令による関東への移封です。武士というのはそもそも先祖伝来の土地を守り抜くことがその存在理由のようなものです。三河を離れることはつらい決断だったはずです。ましてや関東は未開の地ともいえるようなところでした。江戸に入った後の関東の開発の最大の功労者の一人が伊奈忠次でした。もともと有能な官僚(奉行)でそれを秀吉に賞賛されたこともありました。あらゆる仕事をこなしたのですが最もが有名なのが治水事業です。広大な関東平野は川が作った土地で土砂崩れは少ないものの土地の高低差が少ないうえに大きな川が流れていたので川の氾濫は日常茶飯事、また、湿地ばかりで水田には向かない土地でした。特に現在の埼玉から東京湾にかけて流れていた利根川をなんとかしなければなにもできない状態でした。忠次は利根川を現在の埼玉と群馬の間付近から茨城の方に流れを変え太平洋にそそぐような大工事をしました。さすがに利根川が現在のような位置になるには忠次一代では終わりませんでした。利根川に関わる事業以外にもあちこちで治水事業をしましたが忠次が築いた堤防は彼の官位「備前守」からとって「備前堤」と呼ばれてきました。彼の治水の方法は独特です。川の氾濫を完全に抑えるのではなく増水した水を受け入れる地帯を設けます。確かにその場所は氾濫の被害をある程度受けてしまうのですがそれ以上には広がらないようにします。なによりそこから下流地域を氾濫から守ることが出来るのです。完全に水をコントロールしようとせず、優先順位をつけるという方法は実際的であり幕府の強い権限があってこそできることだと思います。最近は日本でも水害が増えていますので忠次の功績を見直すのは意義あることだと思います。いつの日か忠次が主人公の大河ドラマが出来るといいですね。