2022/07/11
7月になる前に梅雨が終わってしまいました。そのことを聞いたときは我が耳を疑いました。なるべく「暑い」といは言わないようにと思っても口をついてでてしまいます。梅雨が早く終わった分、真夏の暑さも早く終わってくれないかなと勝手な希望的観測をもってしまいます。とにかく自然にはなるべく逆らわないにするしかありません。体力が大事です。いまは無理せずに過ごしましょう。
<かぜ情報>
風邪症状での受診者数はやや減ってきました。陽性者も特に増減なく横ばいです。完全にゼロになってくれればとは思っていたのですが、やはり陽性となるケースが一定の割合で続いています。
引き続き、発熱で受診される場合、引き続き行政からの指導のもとでの、時間的及び空間的な隔離をしたうえでの診療となります。この場合、当院の設定した発熱外来の時間帯に完全予約で対応させていただきますが、診療スペースの準備を毎回行ってからのお一人ずつのご案内になりますのでご不便をおかけすることもあるかと存じますがご理解の程、よろしくお願いいたします。
<伊奈町特定検診の開始のお知らせ>
6月20日から毎年恒例の伊奈町の特定検診が始まりました。伊奈町在住の国民健康保険証か後期高齢者証をお持ちの方が対象です(オプション検査となっている胸部レントゲンや大腸がん検診:便潜血などは社会保険に加入の方でも受けられます)。対象者に伊奈町からすでに案内が届いていると思います。今回も11月末までです。待合室の密を避けるために、今年も1日あたりの受診予約枠を少な目とさせていただいております。期間が長めですので余裕をもった計画で予約できるとは思います。それでも秋以降は予約がとりにくくなる可能性もありますので早めの受診をおすすめします。
<糖尿病コーナー>
ミトコンドリアというものをご存じでしょうか。私たちの細胞のそれぞれに存在している細胞内小器官です。
もともとは生物の進化の過程でミトコンドリアは独立した生命体であったと言われています。それがなんらかのきっかけで私たちの祖先ともいえる細胞内に組み込まれ、現在まで共存しているといわれています。細胞内の核には遺伝情報が存在します。細胞の分裂に伴い核も分裂して情報は引き継がれていきますし、受精では父系と母系の両方からに遺伝情報が組み合わされていきます。ミトコンドリアにも遺伝情報ともいえるDNAがあります。人ではミトコンドリアは完全に母系遺伝で引き継がれていきます。母方の情報しかないのです。ミトコンドリアの働きはとても重要で、ひとつには生命のエネルギー源とも言えるATPを産生します。酸素を消費していますので「呼吸作用」ともいえます。一方で活性酸素を除去する作用もあります。活性酸素は「酸化」の原因となるものです。酸化はいわば体の「錆(さび)」そのものです。老化にもなります。一方で糖尿病の様々な合併症は有名ですが、その原因を分子レベルで説明するとなると、糖化、酸化、炎症などといったものが挙げられます。最近注目されているのですが、糖尿病ではミトコンドリアの機能が低下するという説が提唱されています。ミトコンドリア機能が低下すればエネルギー産生の効率が低下するばかりか、酸化の抑制が効かなくなり体の老化が早まる原因になってしまいます。また、血糖を下げてくれる大切なホルモンであるインスリンの分泌を行っているすい臓のベータ細胞の機能低下の原因にも関係しているとも言われています。さらに分泌されたインスリンが実際に作用する肝臓や筋肉でのミトコンドリア機能の低下も指摘されています。最近になりミトコンドリア機能を回復させることで血糖値を下げるとされる薬もつかわれるようになりました。まだ新薬ですのでこれからの普及になると思われます。ミトコンドリアの機能を保つ生活習慣も提唱されています。その一つが「空腹」です。空腹でいる一定の時間がミトコンドリアをいわば元気にするようになるとされています。飽食の時代と言われる現代では空腹になるとすぐ何か食べてしまう、または空腹にならなくても1日中食べ続けるという食生活になりやすいと思われます。ミトコンドリア機能の観点からも空腹の時間は大切だといえるようです。ただし、一部のお薬やインスリンを使っている場合には低血糖の危険性があるため空腹を過度に維持する(我慢する)のはかえって危険となるため注意が必要です。
<院長の日記>
コロナ禍になってプラモデルを時々作るようになったと以前書きました。特に戦闘機を作ることが多いです。
今年も1月に日本の航空自衛隊のF2を作り終え、あらかじめ買っておいたロシアの戦闘機スホーイ35を次に作ろうかと思っていた矢先にウクライナ戦争が始まってしまいました。こんな時に戦争の道具を作るなんて、ましてやロシアの戦闘機を作っているなんて人様には言えないし私自身作る気になれませんでした。しかし、あくまでも趣味としてミリタリーものを作ること自体は悪いことではないはずだと思い直し、コツコツと作ってなんとか完成させました。ウクライナの人にとっては見たくもないでしょうけれど。戦闘機の他に以前から気になっていたプラモデルがありました。旧ドイツ軍が作った列車砲、「ドーラ」です。この列車砲はとにかく大きく、おそらく人類が作った史上最大の大砲(正確にはカノン砲)でしょう。なんと800ミリ砲とされています。つまり砲身の直径が800ミリ(80センチ)です。戦艦ヤマトの主砲塔が450ミリですのでその倍近くもあるのです。直径が大きいということは砲身もとんでもなく長いわけで、あまりに大きいので移動は列車のレールを使うしかありません。砲身と列車が一体化しているので列車砲と呼ばれるのです。列車のレールといっても、もともと敷設されている鉄道のレールではありません。そんな大きさでは収まらないので専用のレールを敷く必要がありました。移動のたびにいちいちレールを敷くのには多大な人員とコストがかかります。実際のところ、製造はされたものの使い勝手が悪すぎてあまり活躍しなかったとのことです。ちなみに「ドーラ」は製造に関わった設計士の奥さんの名前だそうですが、もう一つ同じものが作られ、こちらは「グスタフ」というニックネームでした。製造会社の経営者の名前だそうです。せっかく2つも作ったのに大きすぎてたいして活躍できなかったところは戦艦大和と武蔵になんだか重なります。どちらも第二世界大戦の敗戦国。有用かどうかということよりもとにかく大きなものを作ることが目的になってできてしまった、ゆがんだ怨念のたまもののような産物です。実際の写真が残っていますが、ものすごいインパクトです。ヒトラーがこちらに背を向けてドーラを眺めている写真をネットでみたのですがあまりに不気味で、その晩私の夢に現れました。本当です。しかもそのプラモデルがあるのですからさらに驚きです。1/72スケールでも1メートルくらいになります。もっとすごいことに1/35のスケールもあるようで、こちらは砲身が家の雨どいの塩ビの管くらいの大きさになっています。作っても置き場所に困ること間違いなしです。ほとんど家具ですね。本物のドーラは全く使われなくなったわけでなく、ソ連の要塞の9メートルの厚さのコンクリートの壁を破壊したとの記録があります。9メートルの厚さもまたすごいスケールですが。第二次大戦後はロケット(ミサイル)が作られるようになりましたのでこのような大砲はもう二度と作られないでしょう。ちなみにロケットの開発に貢献しロケットの父と呼ばれたフォン・ブラウン博士は大戦下ではナチスドイツで開発に従事したユダヤ人です。核弾頭との組み合わせ、核ミサイルが今日でも世界の脅威となっています。